ホリスティック医学シンポジウムでガイアシンフォニーの龍村仁監督が「代替医療にも西洋医学を否定するようなものがある。『これさえしていれば何でも治る』と行き過ぎてるものがある。」と発言してくださいました。
これが今一番の代替医療の問題ですね。
「西洋医学的診療の空白」を作るようなやり方は大きな問題があります。先のホメオパシーの事件もこの点が最も重要な問題です。この空白を作らないためには補完代替医療と西洋医学の双方に精通した医師のマネージメントが必要となります。
統合医療には、どのように患者さんをマネージメントするかという「理念」があります。同じ壇上で上野圭一さんが「日本統合医療学会の示す統合医療はよくわからない。患者中心といっているが具体的にどういう事をさすのか示されていない。」とおっしゃった様に、このどのようにマネージメントするかを示せていない医療は統合医療とはいえないわけです。単なる併用ではいけない。
患者さん中心というのは原則として患者さんの希望通りに医療を提供することになります。しかし、すべて患者さんの言いなりと言う訳ではありません。医師には責務が存在しますので、患者さんの希望通りにしているだけではその責務を果たしているとはいえません。患者さんに正しい情報を提供し、患者さんの意向を問い、患者さんの希望と医師の責務のバランスをとりながら治療法を決めていく作業となります。
この作業は決して統合医療に限ったことではありません。西洋医学でも医師に求められる能力です。つまり、今や「患者中心の医学」というのは西洋医学でも当たりまえのことなのです。
医師会が政府の統合医療促進に反対する声明を出しましたが、統合医療でないと患者中心の医療と言えないような定義をしていると指摘しています。当然の指摘であり、これは定義が悪い。他にも医師会は混合診療解禁への伏線ではないかと警戒していますが、統合医療が西洋医学と代替医療の併用自体であると誤解しているがための懸念でしょう。
統合医療は治療の選択肢が西洋医学だけでなく補完代替医療にまで拡大されています。それだけ患者さんには治療の可能性が増えて有利であると同時に不利にもなります。片方だけの知識や情報では量れない難しい問題です。Weil先生は「Always Both」というのが決まり文句ですが、常に双方の狭間でバランス=平衡を保つことが求められるのです。