単に西洋医学に補完代替医療を併用するだけでは統合医療とは言えません。
統合医療とは「西洋医学と補完代替医療のマネージメント」なのです。現在、統合医療に関する学会などでは、特定の補完代替医療の西洋医学への併用経験やエビデンスが取り上げられますが、それは統合医療の会ではなく、補完代替医療の会なわけです。
統合医療では、なぜその患者さんに、その補完代替医療なのか、たとえば、なぜ漢方でなくアロマテラピーなのか、なぜマクロビオティックでなくゲルソン療法なのか。といった補完代替医療を患者さんにコーディネートする場面が一番大切となります。
もちろん、その根拠としてエビデンスは大切です。しかし、EvidenceとEvidence based Medicineは異なる概念です。エビデンスは「何が判っているのか」ははっきりしますが、目の前の患者さんに適応すべきかという点においては、必ずしもエビデンスが必要なわけではありません。
医師の”全監督責任下”(←ここが重要)において、西洋医学も含めた補完代替医療をどのように提供していくのか、患者さんの求める「療法」(もしかしたら全くのでたらめかもしれないものでさえ)を、患者さんの価値観、生死観、文化的背景、経済的背景等々をすべて考慮した上で適応すべきか検討していくのが統合医療の本質です。
基本的には患者さんの求めるものを提供するのが原則ですが、患者さんの「言いなり」では医師としての責務は果たせません。この「患者さんの価値観」と「医師の責務」のバランスをはかっていくのが統合医療の理念の一番大切なところです。